もう今では誰でも知っているくらいビッグになってしまった、アメリカン・ロックの大御所。大御所って言い方は嫌な感じがするけど。。 復活後(1985年以降)の商業的大成功によって今の地位が築かれたわけだが、彼らの本質が見えるのは初期に限られる。 1stアルバム『野獣誕生 (Aerosmith)』を聴けばお分かりの通りチープなサウンドだが、彼ら自身がルーツを解釈して表現したものこそエアロスミスの本質だろう。 根本にはブルースが宿っており、ローリング・ストーンズやヤード・バーズのコピーバンドとも言えなくは無い。 ただ、アメリカ出身であったことが決定的な違いに結びついていると思われ、チープなサウンドながらも熱気がプンプン漂っている。 年とともにそのサウンドは磨きがかかっていき、初期代表作『ロックス (Rocks)』で確立される。 しかし、70年代末期に例によってドラッグ等の問題でバンドは空中分解することになる。 まぁ、お決まりのパターンなんだが・・・ バンド自体は存続していたが駄作を作り続けて(失礼!)シーンから遠ざかっていた。 そんな中、偶然(なのかな?)にもカバー曲として初期の代表曲『ウォーク・ディス・ウェイ (Walk This Way)』が取り上げられ、彼らの人生は180度転換することになった。 『ウォーク・ディス・ウェイ』は3rd『トイズ・イン・ジ・アティック (Toys in the Attic)』に収録されており、初期代表曲としてファンが筆頭に挙げる曲でもあり、最近ではソフトバンクモバイルのCMでもお馴染みの曲だ。 (このCMもセンスが良かった!) しかし70〜80年代初頭まではロック・ファン以外にとっては認知度が低かった曲だが、1986年にヒップ・ホップ・グループのRUN D.M.Cがこの曲のカバーを放ったことで事態は一変する。 (このレコーディングにはバンドの中心メンバーであるスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが参加していた) ラップが世に出回り始めた当時、ハード・ロックとヒップ・ホップの融合(こういうのが本当のフュージョンと言えるのでは?)はあまりにも衝撃的で、全米では話題の的となりMTVでもPVがガンガン流れていた。 これがきっかけでエアロスミス自身も再浮上をすることになったのは言うまでもない。 といっても、オリジナル音源でも既にラップのような歌い方はスティーヴンがやっていたわけで、RUN D.M.Cをはじめとするラッパー達がそこにヒントを見出していたのかもしれない。 ラップの原点はエアロスミスにあり? 語り調のボーカルはスティーヴンも影響を受けているであろう、ツェッペリンのロバート・プラントやストーンズのミック・ジャガーもやっていたが、 リズミカルな語り調はスティーヴンが最初なのかもしれない。 同時に、バンドの軽やかでファンキーなノリにも合致していたことも大きな要因だ。 これがイギリスとアメリカの違いなのかもしれない。肌で黒人音楽に接していたか否かの違い。 他にもジョーのスライド・プレイやリフの創作にはオリジナリティが溢れ(決してテクニック的に凄いわけではないが)、バンド・サウンドとしての音空間が出来上がっている。 ロック・バンドとしては稀な復活を遂げたエアロスミスだが、その後はレーベルを移籍してビジネスに走ってしまう・・・(失礼!) ヒットメーカーの曲を奏でたり、バラードばかりシングルカットしたり(もちろん楽曲そのものは間違いなく素晴らしいものである)、サウンド自体も洗練されてしまい、彼らのルーツがなかなか表に出てこない。 ロックの殿堂入りやらグラミー賞をはじめとする様々な受賞、セールス的にも世界規模になって、世間的には大成功を収めたアーティストとして知名度は上がりっ放しではある。 その路線変更が良かったのか悪かったのかは聴く者が好みで判断することだが、今現在エアロスミス本来の姿はどこにも見当たらないのは、個人的に残念である。
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