まずはゴッドに敬意を表して、彼から始めたいと思います。 現代音楽におけるギター奏法の基礎を確立した神です。 知名度は日本でも相当なものがあると思われるが、 彼の軌跡をちゃんと知っている一般リスナーは少ないようだ。 面白い逸話がある。 クラプトンの日本公演を観に行った時のこと。 ギターソロタイムのようなリストを演じ終わった際、ちょうど私の後ろの席にいたOL風の女性2人が 「クラプトンってギターも上手なのねぇ〜」と・・・ こちらとしては「マジで言ってんのかよ!?」という具合。 悲しいかな、これが現実なんだろうな。 クラプトンの軌跡について、詳しくはWikiでどうぞ。 ここでは一般的でない見方(もちろん中には一般論も書くと思うが)、 別の観点からの紹介という設定でいきたいと思います。 ギターは置いておき、現在のクラプトンの音楽を語る上で重要な分岐点となった時期が、イギリスを去りアメリカへ渡った時である。 それまで攻撃的な音楽を作っていたクラプトンだが、アメリカ南部のゆったりとした(レイドバックと呼ばれる)ものに惹かれるようになった模様で、デラニー&ボニー&フレンズからの活動でその傾向が顕著になる。 ギタリストの間では圧倒的にクリーム時代、リスナーの間ではアンプラグド期が人気らしいが、クリーム時代は楽曲云々よりも演奏に対する実験的な姿勢の方が強く感じられるし、アンプラグドではクラプトンの根底にあったであろう、開拓精神みたいものが影を潜めてしまっている気がする。 BBキングとのブルースものもコアなファンにはウケそうだが、ポップなものではなかった。 (それに反してセールス的に成功したのが不思議なくらい、名前だけで予約完売なのかな?) 個人的にはデレク&ザ・ドミノスがクラプトン音楽のピークと思っている。 ちょうど彼の過渡期にあたるわけだが、過去と未来の融合が完璧にマッチした作品『いとしのレイラ』を聴けば一目瞭然(一聴瞭然?)。 この曲は未だに彼のステージで演奏されていて、名前だけなら知らない人がいないくらい有名だ。 これまたおかしな話だが・・・ この曲がデレク&ザ・ドミノスというバンドの曲だと知っている人もまた少ない。 歌詞の内容ばかりが先行して伝説を生んでいるが、よくよく聴き返してみて欲しい。 こんな超プログレッシブな曲はこれが最初なのではないか? キャッチー&パワフルなイントロのギターリフでリズミカルに曲が始まるが、Aメロに入る前に拍子が変わり更に転調。 また、Bメロの終わりで変拍子&転調し、キャッチーなサビへとなだれ込む。 3コーラス分を怒涛のように繰り返され、弾きまくりのギターソロへ突入。 ソロが終わると組曲のようにキーもリズムもガラリと変わり、ピアノ&スライドギターによる穏やかな長調へ展開される。 そして静かに終焉・・・ 言葉にすると専門的過ぎる書き方になるが、聴けばお分かりだと思う。 この時の彼の生活(人生?)そのままが1曲に集約されているかのごとく、感情の起伏が表現されているのだ。 『いとしのレイラ』は名曲だが、アルバム『いとしのレイラ』の中では異端児である。 そして、全くの無名曲として扱われるであろう他の楽曲に対して、その素晴らしさも伝わり切れていない現状も嘆かわしい。 『1. アイ・ルックト・アウェイ 』『2. ベル・ボトム・ブルース』『8. テル・ザ・トゥルース』『9. 恋は悲しきもの』 ジミヘンのカバー『11. リトル・ウィング』などなど。 ゲスト扱いではあるがアルバム全般でデュアン・オールマン(オールマン・ブラザーズ・バンド)が参加しており、彼らはすぐに意気投合してしまったらしい。 このことも、その後のクラプトン音楽を知る上では重要なことだった。 これを期にスライドギターもプレイするようになるし、南部特有のタイム感を習得していくことになり、楽曲自体が縦ノリから横ノリ中心になっていく。 アルバム内でのクラプトンとデュアンの違いは音色とリズム感で明らかであるが、今のクラプトンを聴くとデュアンと被る部分も多く見受けられるようになっている。 したがって、現在のクラプトンの曲作りの原点はこの辺にあるのではないかと思うわけなのだ。 その後、志を共有していたジミ・ヘンドリックスやデュアン・オールマンの他界などで精神的に落ち込んだらしく、ドラッグに染めるようになり(本当の理由は分からない)リタイアへ追い込まれる。 しかし、復帰後は順調にソロ活動でヒット作を生み出し、アンプラグドで再度世界的に大ブレイク。 そして大人の落ち着いた音楽を世に送り出して毎年のように日本公演も行っている。 とはいえ、個人的にはROCKの神でもある(と思っている)クラプトンの現在の活動には少しガッカリする部分は少なからずある。 なぜならば、人の感情が爆発する時、何かとてつもない力がみなぎり、 新しくてユニークなものを作り上げる源になる、ということを証明してきたのは、何を隠そうエリック・クラプトンその人だったのだから。
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